ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

あことバンビはあことバンビ

HEROさん(@dka_hero)の漫画『あことバンビ』を読んでいます。 友人の某mtmtさんから突然「君これ好きだと思う」とURLが送られてきたのがこの漫画です。 http://dka-hero.me 読んでみてわかったのは、私はmtmtに完全に趣味嗜好がバレている、ということです。…

月への祈り

石井ゆかりさんの『月のとびら』を読みました。 以前読んで大好きな、青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』で登場した作品で、とても気になってしまって読みました。 『月』というものを、人々がこれまでから現在にかけてどう解釈し、付き合い、祈りの…

うーちゃんとかか

宇佐見りんさんの『かか』を読みました。 本屋大賞の時に読んだ、芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』で度肝を抜かれたので、同じく色々と賞を受賞されていて、かつデビュー作という本作を読みました。 本作もえげつない表現力が爆発していました。うーちゃんの感情…

異形性変異症候群

黒澤いづみさんの『人間に向いてない』を読みました。 随分前に、たしか彩瀬まるさんがTwitterでオススメしていたので知って、ずっと気になっていたのですが、ようやく読めました。 知識は全くないのですが、ちょっと特殊な作品に贈られるというメフィスト賞…

チョコレートグラミー

町田そのこさんの『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』を読みました。 町田さんは、本屋大賞の52ヘルツに続いて2作目ですが、早速とんでもない作品に出会ってしまいました。 なによりもタイトルがお洒落ですね。そして解説でも触れられていましたが、書き出し…

こんなに最高のオチが他にあるだろうか?

北村薫さんの『覆面作家の夢の家』を読みました。 覆面作家シリーズ、堂々の完結です。ずっと勿体無くて読めていなかったのですが、ようやく意を決して読みました。 はい、最高でした。北村薫さんの創り出す世界って、めちゃくちゃお洒落なんですよね。会話…

城塚翡翠の人間味について

相沢沙呼さんの個人的2作目、そして城塚翡翠シリーズ(?)2作目である『invert 城塚翡翠倒叙集』を読みました。 端的に言って、最高でした。 シリーズ1作目であれだけのどんでん返しが行われた後だというのにも関わらず、非常に自然な流れの2作目となっ…

東京ディストピア日記

桜庭一樹さんの『東京ディストピア日記』を読みました。 これは小説ではなく、桜庭さんが私的につけている日記をまとめ上げたものになります。ちょうどコロナが流行する前の2020年1月から、2021年1月までの期間を断片的に流れていくものになります。 あんま…

推定少女

桜庭一樹さんの『推定少女』を読みました。 桜庭さんお得意の家出少女です。本作はザ・桜庭作品といえるくらいな描きっぷりでありつつ、結構大掛かりなSF要素も入っており、とても楽しめました。 中高生の、中高生特有の息苦しさをこんなにも鮮やかに、そし…

未完成定理はいいぞ

comicoという漫画アプリにおいて、『未完成定理』という漫画があり、先日完結しました。いや、してしまいました。 ここはその『未完成定理』をひたすらオススメしまくるだけのコーナーです。 私が『未完成定理』と出会ったのは何年前だったか……。時期は忘れ…

余韻最強短編集

田辺聖子さんの「孤独な夜のココア」を読みました。 バリバリ恋愛小説の短編集でした。今回もまた、田辺聖子さんの天才ぶりに感嘆するしかありませんでした。 昭和58年…私が生まれる前の時代にこんなものを書いて、令和になって読んだ私をブッ刺してくるのは…

『私より、仁胡瑠の方がずっと変わってるよ』

彩瀬まるさんの「草原のサーカス」を読みました。 彩瀬さんの長編、大好きなんです。いや、短編も大好きなんですが。長編でいくと、「珠玉」ぶり? (追記・今回いつも以上に自分の話にすり替わってます…ご容赦ください) 彩瀬さんの長編って、彩瀬さんが隣で…

平安朝のシンデレラ

田辺聖子さんの「おちくぼ姫」を読みました。 本作は、落窪物語という古典作品を田辺さんが現代風に書き起こした作品です。 全く馴染みのない時代なのですが、我々がつまづきそうな所には本文中に説明を挟んでくれるという田辺さん独特の文体によって、ずん…

出会いすぎる曲がり角

講談社の「非日常の謎」を読みました。 複数の小説家さんが上記タイトルをテーマとした短編を寄せている作品です。凪良さんがそのうちの一人なので、喜んで読みました。 テーマの通り、スパイスの効いた面白いミステリ集でした。「非日常」とわざわざ銘打っ…

本屋大賞2021ノミネート読破

本屋大賞2021ノミネート作品10作を、すべて読みました。 比較的ミーハーな人間なので、前々から、何かしらの文学賞のノミネート作読破とかやってみたいな〜本屋大賞がやりやすそうだな〜と思っていました。 そして今年2021年のノミネート作品には、偶然にも2…

『ぶんげいぶ?』

深緑野分さんの「この本を盗む者は」を読みました。 本屋大賞ノミネート作品10作目!!無事に読み切りました。総まとめは次の機会に。 深緑さんとは初対面でした。見るからに分厚く、またファンタジーっぽかったので最後に取っておきました。 すごく独特な世…

コーシローと光司郎

伊吹有喜さんの「犬がいた季節」を読みました。 本屋大賞ノミネート9作目!伊吹さんとは完全に初対面です。 6話からなる短編集ですが、1話ごとに「切ね~~~~」ともだえるような作品集でした。非常にセンチメンタルな気分にさせてくれる素敵な小説でし…

『あんた、人生の無駄遣いやがね』

町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」を読みました。 本屋大賞ノミネート作品8作目!10作読破の目処が完全につきました。 テーマは「家族の呪縛」「多様性への無理解さ」「共依存」で、私の大好物ですね。彩瀬まる作品と雰囲気がちょっと似てると思…

『逆に訊きたいです。みんな、なんで自分たち住む星の中のこと、知りたくならないのか。』

伊予原新さんの「八月の銀の雪」を読みました。本屋大賞ノミネート作品7作目! 短編集でしたが、どれも科学要素が出てきて、非常に楽しく読めました。 科学要素と、各人物の悩みがもう少し深いところで繋がってると、もっと良かったなーと思いますが、でも実…

言い訳を探す日々、やめませんか

青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」を読みました。本屋大賞ノミネート作品6作目です。 青山さんとは初対面でした。あらすじからワクワクしていましたが、本当に久々に、"元気"をもらう作品を読みました。 いや、最近読んでたのが全部バッドエンドだと…

推し × 純文学

宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」を読みました。 芥川賞を受賞したこと、本屋大賞にノミネートされていること、それから題名のインパクトが強いことから、結構多くの方がご存知の作品だと思います。 私も芥川賞を受賞した時に知って、読みたいと思っていたら…

『え、でも、ソーダ味好きだから…』

竹宮ゆゆこさんの「あしたはひとりにしてくれ」を読みました。 古本を買ったのですが、表紙をめくるとまさかのサインがあってビビりました…。真偽は分かりませんが、調べてみた感じ、本物っぽいです。たなぼたでした。 今回はまた、すごい方向にぶっ飛んだ作…

『そうですよね。新見先輩って冒険しない人ですもんね』

加藤シゲアキさんの「オルタネート」を読みました。本屋大賞候補4冊目です。なんだんかんだ順調だ…。残り6冊も買うだけ買いました。 めちゃくちゃ爽やかな青春小説でした。 中盤にかけての積み上げ方もすてきだし、終盤も加速して一気に盛り上がる感じがあ…

『僕は、そうは、思いません』

伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」を読みました。本屋大賞候補3冊目です。 伊坂さんは、ずいぶん昔に「アヒルと鴨の~」と「死神の精度」を読んだっきりでした。 本作は、基本は小学生が主人公となる短編集で、日常の学校生活でのお話です。 基本面白く読め…

『失礼。いま何時でしょう』

田辺聖子さんの「感傷旅行」を読みました。 この前「ジョゼと虎と魚たち」を読んで度肝を抜かれた方の、芥川賞受賞作と聞いて、すぐに購入しました。 これも短編集でした。うまく表現できませんが、タイトル通りどれも感傷的な作品で、理屈よりも感情が勝る…

ニルヤの島

柴田勝家さんの「ニルヤの島」を読みました。 私の適当な提案に乗ってくださった友人から交換本として頂いたものです。 本格的なSFでした。SFは普段ほとんど読まないんですが、私の読書のルーツは星新一なので、勝手に親和性は感じてます。 本作は構成がだい…

『そうか、自転しながら公転してるんだな』

山本文緒さんの『自転しながら公転する』を読みました。 山本文緒さんは、アカペラに続いて2作目です。こちらは最新作で、彩瀬さんと凪良さんがどちらもオススメしていたので手に取りました。 登場人物への全面的な共感はできないんですけど、生活していく…

『なんだ、そのガイジンみたいな頭は』

山本文緒さんの「アカペラ」を読みました。 凪良さんが先日のトークショーで紹介されていた作品の一つです。 山本文緒さんとは初対面でしたが、一気に引き込まれました…。田辺聖子に続いて、早くもまた新たな天才と出会ってしまいました。 三作とも好きです…

『何考えててもいいけど、ちゃんとしてよ』

芦沢央さんの「汚れた手をそこで拭かない」を読みました。 芦沢さんは、「罪の余白」と「悪いものが、来ませんように」に続いて3作目です。 毎度のことですが、話の展開が気になりすぎて、すいすい読めてしまいますし、展開の意外性がすごくて好きです。 タ…

『いつかはそうなるやろ』のいつかはいつか?

田辺聖子さんの「ジョゼと虎と魚たち」を読みました。 まず、これを原作とする映画がいまやってて、暇を持て余してたので観ました。そうして、どうやら原作は短編らしいと聞いて気になり、読んだ次第です。 いや、こんな沁みる短編集だとは思ってなかったで…