ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

ジャンル「竹宮ゆゆこ」について

「あなたはここで、息ができるの?」の感想を書こうと思ったのですが、竹宮ゆゆこオタクすぎて、竹宮ゆゆこさんにまつわる話だけでボリューミーになってしまったので、分けます。

 

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中学生の頃、周囲の友達が所謂オタク文化(アニメ・マンガ・ラノベ)に染まりだしました。はじめは反射的に、私は触れてはいけない領域だと思って目を瞑っていました。淡い記憶では、これらは不真面目の権化のように感じていたのかな。食わず嫌いともいいます。

 

ただ、当然友達との会話にはついていけなくなり(幸いなことに、だからといって気まずくなったり、はぶかれるような友達ではありませんでしたが)、またその頃から小説を読むのは好きだったため、恐る恐るラノベに手を出しました。そこで出会ったのが「とらドラ!」です。

 

当時の自分にはとんでもない衝撃でした。こんなに面白いものがあるんだ、と。これまで偏見ガチガチだった自分を恥じ、ジャンルを問わずまだ自分が面白く感じれることっていっぱいあるんだなという気づきでした。

 

つまり、今から考えれば、私の価値観を変えた作品になりますね。「なるべくたくさんのことを楽しめる人間になる」という現在の価値観へのスタート地点でした。

 

大学生になって、本屋で偶然「竹宮ゆゆこ」の文字を見たときはビックリしました。「知らない映画のサントラを聴く」ですね。

 

竹宮ゆゆこさんは、現在は一般文芸に近い立ち位置で作品を書かれています。まぁ、ラノベかそうでないかにたいした違いや意味はなくて、いうなればジャンル「竹宮ゆゆこ」といった感じです。

 

ジャンル「竹宮ゆゆこ」は、かなりクセが強いので、好きな人はとことん好き、楽しめない人はとことん楽しめない、そんなジャンルだと思います。

 

こんなに書いておいて、まだ既刊の半分くらいしか読んでないニワカですが、私が考える魅力(竹宮ゆゆこ節)を3つほど紹介します。

 

①怒涛のメタファー

メタファーがめちゃくちゃ多いです。初読はだいたい何をいってるかわからない、もしくは何が起こっているのかすらわからない、怒涛のジェットコースター展開があるのがデフォです。

かつ、序盤でメタファーの意味を匂わせてるのは大体ミスリードなので、それで固定化して考えちゃうとこんがらがります。メタファーに対しては最後まで柔軟な気持ちを持つことが重要です。

このせいで「ジェットコースターから振り落とされた気分」「難しかった」という感想になる方がいるのだと思います。でもですね、これを楽しめるかどうかが一番のキモなんですよ。竹宮ゆゆこ氏と限りなくシンクロして、何度も読んでいくと、文章が変わったわけじゃないのに、読むたびに印象がめちゃくちゃ変わるんですよ。初読でスルーした所で泣いてしまう、そんな感じです。 

 

②タイトル

タイトルもクセが結構強いです。「知らない映画のサントラを聴く」や「砕け散るところを見せてあげる」、「あなたはここで、息ができるの?」などなど。

これも、読了後に想いをはせるとジーンとくるやつばかりです。つまりメタファー、なんですよねw

 

③非常に砕けた一人称語り

大体が主人公の一人称語りで、主人公が大体女の子で、めちゃくちゃ砕けた文章体で描かれてます。これはラノベ時代の名残り?なのでしょうかね。

この砕け具合に辟易してしまう人もいるんだろうな〜とは思います。

 

続いて、オススメの作品ですが、まだ既刊を読み終えてないので、細かいことはやめときます。ただ、「砕け散るところを見せてあげる」が私にとっての聖典です。メタファーが特に際立っている作品ですが、解釈できたときの感動と言ったら、最高です。「あなたはここで、息ができるの?」は比較的親切設計だったので、竹宮ゆゆこ入門としては良さげかもしれません。

 

現在、手元には「いいからしばらく黙ってろ!」があります。とても楽しみですが、まだ「あなたはここで、息ができるの?」の余韻を楽しみたいかな。でも近々読んじゃいそうです。