ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

『逆に訊きたいです。みんな、なんで自分たち住む星の中のこと、知りたくならないのか。』

伊予原新さんの「八月の銀の雪」を読みました。本屋大賞ノミネート作品7作目!

 

短編集でしたが、どれも科学要素が出てきて、非常に楽しく読めました。

 

科学要素と、各人物の悩みがもう少し深いところで繋がってると、もっと良かったなーと思いますが、でも実際こんなもんですよね。

 

しかも、こういうのって私が読書する体験と同じで、科学要素と何かが繋がっているというより、今の自分の状況と親和性が高い解釈を人間がしがちで、それによって救われることがあるよね、ってことかなと思いました。

 

以下、各短編ごとにネタバレありで簡単に感想です。

 

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【八月の銀の雪】

コンビニの外人バイトさんの感じ、本当失礼だとは思うけど割とわかってしまう部分はあるなぁ…ぶっきらぼうな感じとか。これって文化の違いからくる違和感なのかな。

 

そして科学テーマは地球。大学時代をめちゃくちゃ思い出しました。銀の雪、すてきですね。

 

あとは、清田を救ってくれ。

 

【海へ還る日】

果穂のお母さん(名前出てきてたっけ??)の被害妄想というか、自己肯定力の低さがすごい…これでは私はとても生きていけない……。

 

クジラの話は興味深いですね。「歌」としての鳴き声が文化的に伝達されていく、そんなことがあるんですね。

 

もしかしたら彼らは、我々とは違って、もっと内向きの知性や精神世界を発達させているのかもしれない───ということなんです。

この考え方があるのも納得してしまいました。

 

【アルノー檸檬

伝書鳩の存在は知ってましたけど、こいつら地磁気を感じ取れるんですか……すげぇ。

この短編は、特に主人公とハトの対比が綺麗で素敵でした。

 

【玻璃を拾う】

「謝ったら死んじゃう病」わかる〜〜こういう人いる〜〜。程度とか方向性が人それぞれだから、扱いが難しいんすよね……。

おはぎが美味しそうで、食べたくなりました。

 

【十万年の西風】

気象観測!!凧での観測はボンヤリとしか知りませんでした、勉強になりました。

原発も、震災があってから一度興味を持ったことがあったので、これも勉強になりました。

 

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以上、小説としてというより知識興味を満たすものとして、楽しめました(笑)。