田辺聖子さんの「おちくぼ姫」を読みました。
本作は、落窪物語という古典作品を田辺さんが現代風に書き起こした作品です。
全く馴染みのない時代なのですが、我々がつまづきそうな所には本文中に説明を挟んでくれるという田辺さん独特の文体によって、ずんずん読んでいくことができました。
純粋にシンデレラストーリーとして面白かったですし、平安朝時代の恋愛・結婚事情というのが(真偽はわかりませんが)よくわかって面白かったです。
以下、少しだけネタバレを。
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今からみれば、かなり特殊で、しきたりの多い時代ですね。
この物語が人気である背景からもわかるように、この時代における「恋愛結婚」「男が1人の女性とだけ結婚する」ということの特殊性がよくわかります。
「普通」というのがどれだけ時代や社会によって作り出されたものかよくわかりますね。その上で、田辺さんの筆力によって、この時代を生きた人々を身近に感じることができました。
メインの姫君と少将もいいのだけれど、阿漕と帯刀のコンビも素敵ですね…特に阿漕の力強さが、この物語を爽やかにしてくれています。
物語からは逸れますが、あとがきで笑いました。落窪物語の後半は急につまらなくなること、資親の性格改変、すべてありのまま書かれていて、一層このお話を好きになりました。