相沢沙呼さんの『午前零時のサンドリヨン』を読みました。
mediumを読了したはるか昔に、友人にオススメして頂いたのが買ったきっかけだったような気がします。
久々にザ・日常の謎作品を読み、大満足でした。medium/invertとはジャンルが違うわけだけれども、どこか似たようなエンターテイメントの雰囲気を感じます。これが相沢さんらしさなのでしょうね。
先に書いておくと、本作が好きという方は、北村薫さんの覆面作家シリーズを是非読んでください!!絶対気に入るとおもいます。
本作ではマジックが象徴的に扱われています。そこを意識してなのか、作者本人がマジック得意だからなのか、分かりませんが、とても対話している印象を受けました。マジシャンが、観客と対話しながら進んでいくように。本来は小説→読者への一方通行であるはずなのに、読者の考えを見透かされて先回りされているような。
マジックを見た時のような、エンターテイメントとしての質の高さに唸らされるような作品でした。
では、以下ネタバレありで書きます。
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詳しく言うとmediumのネタバレになってしまうので避けますが、特にエンターテイメント的側面において、かなり似た雰囲気を感じたなぁと思いました。
まさしくマジックと同じなのだと思いますが、読者の思考誘導、目線(?)誘導が素晴らしく、1冊全体として綺麗にまとまっている感じが本当にすごいです。
さらに、作者の時系列としては本作→mediumの流れであるわけですが、特に人物描写について、レベルアップの過程を垣間見た気がしました。あぁ、mediumで感じた魅力の源流がここにあるな、という感じです。
最近の個人的趣味として、鈍感系主人公苦手というのがあるので、須川くんへの思い入れは今ひとつでした。でも君の素直な感じは面白い。
酉乃さんはとても可愛かったです。探偵役として活躍するわけですが、そこに依存しちゃう感じが高校生らしくてとても良いです。
日常の謎と、日常の謎を餌に変化していく人間関係という描写の感じが、とても北村薫からの影響を感じます。北村薫作品を読み返したくなった。
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本作は続刊があるみたいなので、また日常の謎と青春要素を摂りたくなったら読みます。