ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

ハゴロモ

よしもとばななさんの『ハゴロモ』を読みました。

 

ザ・よしもとばなな、な作品です。幻想的な雰囲気の中でも、現実に通ずるような祈りの物語が展開されて、読者をほんのりと優しい気持ちにさせてくれます。

 

本作は、都会で色々あって傷ついた主人公が、ふるさとに戻って色々な何かに触れていく物語です。こういう、傷ついて立ち止まってしまった人が、緩やかに回復していき、また歩き出すまでを描く物語、とても好きなんです。橋本紡さん作品が、この雰囲気の作品が多いのです。『流れ星が消えないうちに』とか、まさしく。

 

ネタバレしてどうこう、というお話でもないですが、以下ネタバレが含まれているかもしれません。

 

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幻想的で、言ってしまえば捉えどころがないのに、読んでいるとハッとする場面が多いのはなんでなんでしょうね。

 

以下、気に入った表現をただただ挙げていきます。

 

そして窓から青い空を見上げて、私は自分がその頃と少しも変わっていないのにびっくりした。

人の、感じる心の芯のところは、決して変わることがないようだ。

p46。わかる~~。大きな感情の揺らぎがあった時、『あれ?私この感情知ってるぞ…?』と全く別の過去の場面を思い出すことがあります。

 

体は心と連動して、微妙な力を発揮している。心が弱っていても、体を動かしていることで最低限の何かが保証されることはたくさんある。

p105。これは真理でしかない。本文にもあるけどこの逆も然り。とにかくなにがあっても体が動く限りは体を動かし続けろ。

 

恋愛はとてもすばらしい。でも、この世の中は、もっともっと大きなことでできているんだ、と私はまた実感した。

p111-112。これも真理でしかない。

 

時間というもののおそろしい力を、私は実感した。

p117。めちゃわかる~~。忘却は力なり。

 

~今、ひまだし好きこのんでここにいるのだ、~

p128。能動的選択の力強さ。

 

『そういうのが最高なんじゃないのか?自然に、川のように流れて、あるところにいつのまについてしまうっていうのが。』

p163。この感覚に自覚的になったのは社会人になってからかなぁ。

 

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よしもとばななさんも定期的に摂取していかないといけない栄養素になりつつあります。