桂望実さんの『総選挙ホテル』を読みました。
桂さんは今回がお初です。題名のインパクトが強いですよね。内容みなくても読みたくなってくるレベル。
本作はとあるホテルで働く従業員による多人数視点のお話です。結構設定が思い切った形になっているのでそういう意味では現実味はないのですが、その中で働く一人一人の仕事に対する取り組み方は非常にリアルで、王道のエンタメお仕事小説だったと思います。何より構成がステキでした。
では、以下ネタバレありで書いていきます。
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■ 構成がステキ
なんといってもこれですね。ホテルが変わる前の従業員によるインタビューから始まり、総選挙などの改革を経て、最後にたどり着いた所で再びインタビューが実施されるこのエモさよ…。
■ 多人数視点だけど一体感が強い
多人数視点で、ホテルと一言で言っても仕事の分野は多岐にわたっていてバラバラなんですが、不思議と一体感を強く感じながら読むことができました。
なにより、橋本さん(主人と来たことのあるホテルに再訪されたおばさま)のくだりが完璧すぎました。これぞ王道のお仕事×エンタメ×多人数の展開ですね!
■ 心情はとてもリアル
本作は、設定についてはかなりエンタメに寄っているのですが、各登場人物の心情はとてもリアルで、社会人の私として共感するところが多くありました。
会社員時代、毎日を無駄遣いしているようで焦りを感じていた。手応えが欲しかった。ちゃんと自分なりの最高の人生を歩んでいるとの実感が。
p171のこの表現が一番刺さったかな~。まさしくいまの私が直面していることだと思う。詳しくは書きません笑。
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最近、こういうザ・エンタメをちょいちょい挟むことに成功しているので多様な読書になっていてハッピーです。