2022年も終わりですね。
今年は、前半は2021年の勢いそのままに引きこもってひたすら本を読んでいました。一方、後半は居住地の変化があったことをきっかけに生活スタイルが少し変わり、特に理由はないものの本を読まない期間もあったりして、ペースとしては大分落ちました。
さて、今年一年間で読んだ本は、32冊+α。う~~ん微妙!まぁ、たくさん読むことを目的には全くしていないので、自分のペースで読書と向き合えたという意味では今年も良い一年でした。
今年の読書テーマとしては、ほぼ2021年を受け継ぎ、『文学賞』と『新しい出会い』であったと思います。
まずは『文学賞』から。
今年も本屋大賞ノミネート10作を、発表前に読むことができました。これは続けられる限り続けていきたいなぁと思っています。それから、本屋大賞や直木賞、芥川賞の歴代受賞作を読み漁ったりといった部分もありました。
そして何より、文学賞と呼んでよいのか分かりませんが、ほんタメ文学賞のお蔭で斜線堂先生と出会えたことが今年一番の収穫だと思っています。
そして『新しい出会い』です。
去年は、好きな小説家さんが好きな小説家さんへ拡げることでコスパ良く出会っていきました。一方、今年は偶然の出会いを求めて、なんとなくご縁を感じる本をなるべく前情報なしで買って読む、というのが多かったです。芝木好子さんや絲山秋子さんなど、ステキな出会いがありました。
さて、前置きはこのくらいにして、今年も誰にも頼まれていないのにオススメ作品紹介をしたいと思います。
今年は読んだ冊数も少なかったので、オススメ10選に何とか絞れました。なお、対象は『私が2022年に読了した小説』となりますので、この時点で偏りが酷いことには予めご了承ください。
また、選出ルールとしては1作者1作品までという形式を取っています。また、一応紹介するという目的なので、私基準におけるネタバレは入れないようにしています。
それでは行きましょう。
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- ■ invert Ⅱ 覗き窓の死角(相沢沙呼)
- ■ 月の立つ林で(青山美智子)
- ■ 正欲(朝井リョウ)
- ■ くるまの娘(宇佐見りん)
- ■ ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻(P.G.ウッドハウス、岩永正勝・小山太一編訳)
- ■ 芝木好子小説集 新しい日々(芝木好子)
- ■ 走馬灯のセトリは考えておいて(柴田勝家)
- ■ 愛じゃないならこれは何(斜線堂有紀)
- ■ 舟を編む(三浦しをん)
- ■ 火車(宮部みゆき)
- ■ 万人にオススメしたい度ナンバー1
- ■ 個人的に読んでよかった度ナンバー1
■ invert Ⅱ 覗き窓の死角(相沢沙呼)
城塚翡翠シリーズの最新作です。私個人としてはこれまで倒叙ものにきちんと触れる機会がなかったのですが、『探偵の推理を推理すること』の魅力を存分に味わうことができていますし、城塚翡翠という人の魅力で読ませる名作です。
最近、mediumから始まりinvertに続く形でドラマ化がされまして、原作厨大歓喜の最高のドラマ化だったのでよければそちらも。
■ 月の立つ林で(青山美智子)
2023年の本屋大賞、第1位おめでとうございます!!(素振り)
2021年の本屋大賞で出会ってから何冊か読ませて頂いていますが、とにかく元気を貰える作品が多く、本作はその中でもオシャレさと神秘さに磨きがかかっています。次こそ大賞を獲ってほしいので素振りしておきました!!!!!
月にまつわる知識も頂けます。『お天道様』が一番すき。
■ 正欲(朝井リョウ)
本屋大賞で出会いました。朝井リョウさんの作品は初めてだったのですが、今年のノミネート作の中で一番頭をぶん殴られた作品です。多人数視点での描き方が上手すぎて感銘を受けました。読む前の自分には戻れません。
■ くるまの娘(宇佐見りん)
『推し、燃ゆ』と『かか』で宇佐見作品の虜になった私をダメ押しするような作品でした。"家族"というテーマについて、前2作よりももっと深い所まで潜っていって、もっと混沌としていて正解のない世界を突き詰めて描いてくれています。
■ ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻(P.G.ウッドハウス、岩永正勝・小山太一編訳)
王道どまんなかの傑作です。ポンコツ主人と賢明な従僕というコンビが活躍していきますが、しっかりキャラクターにも人間味を感じられるので、物語として思いっきり楽しめる作品だと思います。海外文学が苦手な方でも問題なく楽しめると思います。
■ 芝木好子小説集 新しい日々(芝木好子)
完全に装丁で買った作品なのですが、運命的に私の好みをドストレートについてくる作品でした。本作はいわゆる戦後の時代において新しい日々を送らんとする人々の生活が綴られています。『脚光』が一番すき。
■ 走馬灯のセトリは考えておいて(柴田勝家)
私はほぼSFを読まないのですが、何故か手が伸びるのが柴田勝家殿の作品です。本作はそこまでSFSFしすぎてないので、普段SFを読まない人にもオススメです。タイトルや、『"この世"を卒業するバーチャルアイドルのラストライブ』というパンチワードに惹かれる方はぜひ騙されたと思って読んでくださいな。
■ 愛じゃないならこれは何(斜線堂有紀)
ほんタメというYoutubeチャンネルの文学賞に選ばれたのがキッカケで手を取った作品です。私の心のど真ん中を打ち抜く恋愛地獄小説でした。恋愛を主とする強い感情に勝つことができずに、わかっているのに地獄へと突き進んでいく物語です。『ミニカーだって一生推してろ』が一番すき。
最近『君の地球が平らになりますように』という続編も出たのでぜひぜひ。
■ 舟を編む(三浦しをん)
本屋大賞受賞の傑作、お仕事小説になります。辞書を作る仕事という、これまで触れたことのない分野の中で展開されていく人間ドラマ、非常に王道ですが新鮮な作品でした。全く知識のない人でもスルッと入っていける敷居の低さとそれでいてディープな世界観が共存しています。
■ 火車(宮部みゆき)
宮部みゆきさんの本拠地である社会派推理小説の代表作なのだと思います。宮部みゆき作品は例外なく分厚いのですが、物語の盛り上げ方が異常に上手く、一気に読みたくなる不思議な作品です。お金の問題に直面した登場人物たちの切実な想いがリアリティをもって描かれています。
■ 万人にオススメしたい度ナンバー1
今回挙げた10作はどれもオススメである、という前提の上で、人にオススメするために一つ選ぶのだとすれば、青山美智子さんの『月の立つ林で』です。次点で『舟を編む』かな~。
去年も青山美智子さんを選ばせて頂きました。本当に青山先生の作品は万人にオススメしたくなる作品です。
■ 個人的に読んでよかった度ナンバー1
これは問答無用で斜線堂有紀さんの『愛じゃないならこれは何』です。いまだに、私は本作をどういう感情・共感でもって推しているのかイマイチ分かっていないのですが、とにかく斜線堂先生の地獄小説からしか摂取できない栄養素があって、どんどん供給してくれ、そういう気持ちです(語彙力)。
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今年も楽しく生き抜くことができました!