一穂ミチさんの『光のとこにいてね』を読みました。
一穂さんとは昨年の本屋大賞候補以来です。今回は長編小説ということでワクワクしながら読み始めました。そしたらまぁ、今の私に刺さる刺さる…。主人公2人の特別な関係性がいとおしく、後半の答え合わせと盛り上がりがとても良かったです。
では、以下はネタバレありで書いていきます。
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■ 結珠と果遠
本作を百合作品だと括って評価してしまう層が一定数いそうで、私個人はすごくそれが嫌なのですが(皆さんがどのような感想を持とうと自由です)、私は性別なぞ飛び越えた人と人との関係性、人が人を思うということを描いた作品だと感じました。
とりわけこの2人は、離れ離れになっている期間が長いせいで、思いというより祈りに近い感情になっているように思います。でもだからこそ、こんなに一途に色あせずに思いを持ち続けられていたんだというような気がします。
■ ラスト
終盤の果遠の行動は、これはまさしく、結珠のことを"祈り"の対象とみている故ではないでしょうか。自分がこれ以上干渉してしまって傷つけてしまうのが怖いから、どうか光のとこに居てほしいと願う感情。
一方の結珠のラストの行動は爽快でめちゃ好き。この読後感は彼女のおかげです。そんなの関係ねぇ!一緒に居てほしい!一緒に考えよう!!というアンサーですよね。主人公みが強い。この力強さは本当にシビレます…。
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いやぁ~重いけど重すぎず、この多幸感ある読後感。
『流浪の月』や『52ヘルツのクジラたち』と同じような文脈で本屋大賞を獲る未来も少し見える作品でした。有力候補だと思います。