ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

平安朝のシンデレラ

田辺聖子さんの「おちくぼ姫」を読みました。

 

本作は、落窪物語という古典作品を田辺さんが現代風に書き起こした作品です。

 

全く馴染みのない時代なのですが、我々がつまづきそうな所には本文中に説明を挟んでくれるという田辺さん独特の文体によって、ずんずん読んでいくことができました。

 

純粋にシンデレラストーリーとして面白かったですし、平安朝時代の恋愛・結婚事情というのが(真偽はわかりませんが)よくわかって面白かったです。

 

以下、少しだけネタバレを。

 

 

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今からみれば、かなり特殊で、しきたりの多い時代ですね。

 

この物語が人気である背景からもわかるように、この時代における「恋愛結婚」「男が1人の女性とだけ結婚する」ということの特殊性がよくわかります。

 

「普通」というのがどれだけ時代や社会によって作り出されたものかよくわかりますね。その上で、田辺さんの筆力によって、この時代を生きた人々を身近に感じることができました。

 

メインの姫君と少将もいいのだけれど、阿漕と帯刀のコンビも素敵ですね…特に阿漕の力強さが、この物語を爽やかにしてくれています。

 

物語からは逸れますが、あとがきで笑いました。落窪物語の後半は急につまらなくなること、資親の性格改変、すべてありのまま書かれていて、一層このお話を好きになりました。

出会いすぎる曲がり角

講談社の「非日常の謎」を読みました。

 

複数の小説家さんが上記タイトルをテーマとした短編を寄せている作品です。凪良さんがそのうちの一人なので、喜んで読みました。

 

テーマの通り、スパイスの効いた面白いミステリ集でした。「非日常」とわざわざ銘打っていることで、単なる超次元的展開というのではなく、「日常の中の非日常」のような作品が多く、個人的に好みでした。

 

背表紙のあらすじで、「コロナの非日常を乗り越える力となると〜」と買いていますが、正直そういう感じではなく、単純に面白い短編ミステリとして読んだ方が楽しめると思います。

 

凪良さん作品は言わずもがなですが、本当にどれも甲乙つけがたい感じです。

 

では、短編ごとにネタバレありでみていきます。

 

 

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【十四時間の空の旅】

辻堂さんは、お名前は聞いたことがあるのですが作品としては初対面でした。

高校生の未完成さがよく現れた作品でした。この学生特有の価値観、描くのが上手いですね〜

 

【表面張力】

凪良さんです。さくら荘ファミリアの外伝ですが、キャラが少し絡むだけで本編とはまた違った味わいでした。

色々な価値観を肯定していきたい凪良さんだからこそ、語り手がコロコロ変わっても違和感なく読み進められるというか。

メインの登場人物がこれくらい多い作品もまた読んでみたいなぁ。

各自の思惑が複雑に絡み合って、なんとか表面張力(ほのか)のおかげで保ってる、このヒリヒリ感よ…最高です。

女性が、押し付けられた女性らしさを受け入れた先での幸せを肯定する価値観まで描けるとは…恐れ入ります。

 

【これは運命ではない】

この九郎は別作品でも出てくるんですかね?そんな雰囲気がしました。

 

安楽椅子探偵もの!答え合わせはしないタイプのやつですね〜。最期の霊のくだりが本当だったりして。

 

【どっち?】

こえ〜〜〜!ヒューマンホラーものと勝手に呼んでいるものに近い。そこまで行動を予測できるなんてよっぽど愛されてますね…。

 

【成人式とタイムカプセル】

青春ほろ苦ストーリー!古典部シリーズみたいな雰囲気でした。

この二人の空気感最高だわ…というかやり取りがカッコいいわ…。

 

【この世界には間違いが七つある】

間違い探しの世界て…芦沢さん天才かよ……。

芹沢さん作品は、私個人としてはいつも設定先行型のように感じちゃう(登場人物が設定のために動かされてるように感じちゃう)んですけど、今回ばかりは設定が天才すぎて、そんなこと気にしてらんないくらい楽しめました。

本屋大賞2021ノミネート読破

本屋大賞2021ノミネート作品10作を、すべて読みました。

 

比較的ミーハーな人間なので、前々から、何かしらの文学賞のノミネート作読破とかやってみたいな〜本屋大賞がやりやすそうだな〜と思っていました。

 

そして今年2021年のノミネート作品には、偶然にも2作ほど既読のものがあったので、チャンスはいまだ!!!と思って今回やってみました。

 

案外順調に進みまして、発表までまだ時間のあるうちに無事10作を読み終えることができました。〆切の力は偉大ですね…!とても濃密な2か月を過ごせました。

 

いや、無理して読んだわけでは決してないのですが、何の縛りもなく読む時より読むことに対する意識が高まるというか、何というか。

 

さて、10作読み終えた感想としては、本屋大賞は非常に多種多様な作品が集うのだなぁと改めて思いました。普段はあまり読まないようなタイプの本もあって、新鮮な体験でした。

 

折角すべて読んだので、甚だ僭越ではありますが、個人的に本屋大賞の順位を考えてみたいなと思います。いずれの作品もネタバレなしで行きます。

 

断りを入れておくと、10作とも基本楽しく読むことができました。あくまで私個人による満足度を指標にしていること、ご了承ください。私個人の満足度としては、順位は割とすんなり決まってあんまり迷うところはなかったです。

 

非常に適当ですが、こういう人にオススメ、というのも書きました。

 

 【第10位:逆ソクラテス伊坂幸太郎)】

小学生の日常を舞台にした短編集です。伊坂幸太郎さんの文体が好きな方、頭のよい小学生が好きな方(?)にオススメです。

私個人としては、小学生の小学生らしからぬさが気になってしまいましたが、所々に刺さるフレーズがあって、印象に残っている作品です。 

 

【第9位:八月の銀の雪(伊与原新)】

日常×科学の短編集です。科学全般に興味がある方にオススメです。

科学によって救われていくというのが非常に新鮮で、楽しく読めました。

 

【第8位:この本を盗む者は(深緑野分)】

10作の中で唯一明確なファンタジーです。独特な世界観です。ファンタジーの世界観に溶け込みたい方、分厚くてもOKな方にオススメです。

中盤以降の怒涛の展開は世界に溶け込みながら楽しむことができました。

 

【第7位:オルタネート(加藤シゲアキ)】

めちゃくちゃ爽やかな青春小説です。SNSを通したザ・青春小説が読みたい方にオススメです。

私個人としてはもう少しヒリヒリする展開を期待してしまいましたが、終盤にかけて物語が集約されていく感には読む手が止まりませんでした。 

 【第6位:52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)】

「家族の呪縛」「多様性への無理解さ」などの現代の重いテーマを扱いつつも、一気に明るい所まで導いてくれる作品です。重め展開が好きな方、共依存関係が好きな方にオススメです。

個人的には、大好きな作家・彩瀬まるさんと似た雰囲気を感じて嬉しかったです。今度別の作品も読んでみたいと思いました。 

 【第5位:自転しながら公転する(山本文緒)】

現代の大人の女性の葛藤をそのまま作品にしたような小説です。社会人で、家族・仕事・恋愛のバランスがうまくいってない方にオススメです。

私としては、全面的な共感はできなかったですが、本来言語化できない部分を見事に描写している表現力に感動しました。

 【第4位:推し、燃ゆ(宇佐見りん)】

芥川賞受賞作!推しを推すということ、SNS社会で生きるということを非常に独特で美しい表現をちりばめながら、仄暗い部分も真正面から生々しく描き切っています。20代以下の方、重い雰囲気が好きな方、純文学に抵抗のない方にオススメです。

私個人としては、第1位と同率くらいの満足度なんです…!読んでから約1か月経ちますが、いまだにこの作品を出発点とした思考をめぐらすことがあります。ただ、芥川賞をすでに受賞されていること、非常に重く万人受けはしないということから、本屋大賞は取りにくいのかな、と思いましてここにしました。

 【第3位:犬がいた季節(伊吹有喜)】

非常にセンチメンタルな気分にさせてくれる素敵な青春小説です。オルタネートとの違いは、こちらは仄暗さも抱えている所かな。「切なさ」を堪能したい方にオススメです。

私個人としては非常に満足度が高かったです。第2位と同等レベルです。 

 【第2位:お探し物は図書館まで(青山美智子)】

”元気”をもらえる作品です。読むのにパワーが要らなくて、逆にあふれんばかりのパワーを与えてくれます。社会人生活でお疲れの方にオススメです。

これも非常に満足度が高かったです。主人公が社会人中心ということもあって刺さった表現が多く、第3位の上にしました。 

 【第1位:滅びの前のシャングリラ(凪良ゆう)】

 1か月後に隕石が落ちてきてみんな死ぬお話です。「明日地球が滅びるとしたら何をしようかな」と考えたことがある方にオススメです。

はい、私の信奉している凪良さんを1位に置きました。圧倒的バッドエンドが確定しているはずなのに、非常に幸福な気持ちになれる作品です。信奉している人の期待値すら余裕で超えてきたことから、悩みましたが第1位としました。去年すでに「流浪の月」で受賞されているので、それがどこまで響くのかな…といった所です。 

 【まとめ】

お疲れさまでした。私としては第4位まではほとんど同率といってよいので、この4作品から選ばれると嬉しいなと思います。

とはいえ冒頭でお話した通り、10作とも非常に楽しく読むことができました。今年もまた、受賞前に作品を読むことができて幸せです。

『ぶんげいぶ?』

深緑野分さんの「この本を盗む者は」を読みました。

 

本屋大賞ノミネート作品10作目!!無事に読み切りました。総まとめは次の機会に。

 

深緑さんとは初対面でした。見るからに分厚く、またファンタジーっぽかったので最後に取っておきました。

 

すごく独特な世界観で、ひとつひとつ細かく設定がなされているような印象を受けました。

 

全体を通していくつかの世界を渡り歩くことになりますが、それぞれが独立した世界観であるが故に、独特な雰囲気に慣れてきた頃には別の世界へと、という感じで中々深く入り込めなかったのが少し残念でした。

 

一方で、中盤以降に仕組みが明らかになってきて、ある程度統一した方向でお話が進み始めてからは、非常に続きの気になる展開で楽しかったです。各登場人物の関係性もよかった。

 

以下、ネタバレ有りで少しだけ。

 

 

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冒頭の、真白と出会って本の世界に迷い込む感じは非常にワクワクが止まりませんでした。

 

一方で、本の世界パートは楽しめたかというと、微妙です。物語の世界というよりは、夢の世界のようで、割と何でもありな展開なんですよね。物語の世界の決まりをうまく活用して前に進んでいくというよりは、強引に物語を横断していくような。ここがあって、中々深く入り込むことはできませんでした。

 

4話以降は、御蔵館の謎が紐解かれていく流れで、世界観も比較的分かりやすく、一気に読めました。

 

真白の正体について、はじめは祖母なのかなと思っていたけれど、深冬自身が生み出していたとは。真白の役割が最期までよくわからなかったけど、ひるねの後継者ってことなのかな。

 

最後の演出は個人的に好き。冒頭に戻ってくる演出で、この小説を書いたのが深冬だという演出。活字の呪いからは抜けだけませんね(笑)

コーシローと光司郎

伊吹有喜さんの「犬がいた季節」を読みました。

 

本屋大賞ノミネート9作目!伊吹さんとは完全に初対面です。

 

6話からなる短編集ですが、1話ごとに「切ね~~~~」ともだえるような作品集でした。非常にセンチメンタルな気分にさせてくれる素敵な小説でした。

 

同じく本屋大賞ノミネートの「お探し物は図書館まで」が、社会人に焦点が当たった短編集だったのと対照的に、いずれも基本は高校生に焦点が当たった短編集です。

 

コーシロー(犬)語りがあるのも、魅力の一つでした。また、各話で時代性がしっかりと切り取られており、時代とともに変わりゆく高校生というのも印象的でした。切なさを加速させる演出です…。

 

総じて、久々に最高の青春小説を読んだ気分です。

以下、ネタバレありで書いていきます。青春小説に対しては基本語彙力ないので、そこはご了承ください。

 

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【めぐる潮の音】

一番切なくて、一番青春してるなと個人的に思うお話です。好き。また、最終話にかけてもゆっくりとつながっていく軸のお話になります。最近多いですけど、短編集でゆる~くつながっていく形式、好きです。

 

優花と光司郎の距離感、いい。この時代を代表する恋愛様式美って感じで、「耳をすませば」と雰囲気似てるな~と思ったら、時代が同じですね…。さすが、時代性を反映しています。

 

一番好きなシーンは、やっぱり紙飛行機のシーンですね…。めちゃくちゃ青春してる…。

 

最期の光司郎の選択の青臭さも、いい。めちゃくちゃ時代性を感じるなぁ。

 

【セナと走った日】

これも好き(2回目)。独特な趣味を語り合える同年代が居る嬉しさと楽しさ、高校生らしいテンション感、いいですね。

 

鈴鹿サーキットまでチャリンコで行こうとして、途中でバテるやつ、ザ・青春ですわ、はい。あだ名を聞いておいて、じゃあそのままあだ名で呼び合うとはならない、このもどかしさ、いい。

 

そして、四六時中一緒にいることで生まれる2人だけの共通言語「たまご」。旅行班でもあるあるの概念ですね。

 

最期のあだ名、いい。呼び方に気持ちが込められている演出、大好きなんです。コーシロー語りの中でアンサーが補完されているのも、いい。

 

【明日の行方】

これは別の意味で切なすぎるお話でした。阪神淡路大震災地下鉄サリン事件、当時の出来事によって良くも悪くも生き方が変わっていく。私たちも、いまコロナというものを経験していく中で、生き方が変わってきていると思います。社会人はさておき、学生は非常に影響を受けているのだろうと思います。

 

お祖母ちゃんの幸せを願って。

 

【スカーレットの夏】

詩乃の歪みが非常に切ないお話でした…。鷲尾とかかわっていくことで、よりコンプレックスを拗らせていくぅ…。でも、鷲尾のおかげで、一歩を踏み出した。

 

鷲尾はただただイケメンだったな…。

『なんでもしてやるよ、青山」

こんなんずるい…。

 

【永遠にする方法】

第1話のチャリンコの子、ここで来たか!と思いました。はじめは、コーシローを元々飼っていたおうちの子なのかな、と思いましたが、そういうわけではなかったようです。

 

優花がまさか先生になっているとは!これは深読みせざるを得ませんでしたが、なにやら複雑な事情があるようで…。これはある程度客観的にしか語られませんが。

 

大輔の切ない片(?)思いも、高校生っぽくてよかったです。

 

それにしても私には理解できない大人が多すぎた。悲しいけれど、こういう現実とも向き合っていかねばね。

 

なにより、「However」を「永遠にする方法」と訳し、その後の優花との対話の中で自分にその意味が返ってきて、おじいちゃんのやりたかったことを叶えてあげる、こんな素敵だけど切ないお話ないですよ…牧場の絵を描き始めたとき、鳥肌立ちました。

 

そして、わかってたけどコーシローの最期は泣く。ずるすぎる。

 

【犬がいた季節】

これはオールスター感謝祭。各話の登場人物のその後がちりばめられています。

 

いや、光司郎くん、30年越しの伏線回収はやめてくれ…。紙飛行機の少女を描くのはズルすぎますって…。愛が重すぎて、だったらもっと早くそうなってろよ!と突っ込みたくはなりましたが、私は人のことを言えないので、光司郎を逆に尊敬します。

 

【まとめ】

最期にふと思い立って確認したら、粋な演出を発見して号泣しました…。既読の方で、まだ表紙カバーを外していない方は、いますぐ外してください。何とは言いません。

『あんた、人生の無駄遣いやがね』

町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」を読みました。

 

本屋大賞ノミネート作品8作目!10作読破の目処が完全につきました。

 

テーマは「家族の呪縛」「多様性への無理解さ」「共依存」で、私の大好物ですね。彩瀬まる作品と雰囲気がちょっと似てると思ったら、彩瀬さんと同じ賞出身の方でしたか。

 

上記テーマへのスタンスは主に2つあると思っていて、相互理解を深め、すべての人間が多様性を認め理解すること("正しさ")を諦めない派と、諦めたうえで互いに心地よく生きることを推進する派?

…日本語難しいですね。とにかく前者は彩瀬さん、後者は凪良さんが代表されると私の中では思っていて、今回の町田さんは彩瀬さん寄りだったな、と思いました。

 

中盤にかけてめちゃくちゃ重い展開が多いです。でも、徐々に明らかになっていく主人公・貴瑚の過去が読ませる読ませる。一気に読んでしまいました。

 

終盤は一気に明るいところまで引っ張り上げられて、本当に一番きれいなところで物語が終わります。救われた気持ちになる反面、こんなきれいな状態が続くことはないんだろうな、と思ってしまったのが正直なところです。「私の男」を知ってしまっているせいですね。

 

総じて、とても引き込まれる作品でした。

 

以下、ネタバレありで少しだけ。

 

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【家族の呪縛】

本作は家族という存在に振り回されている人が多く登場しますね。家族って、本当に特殊なコミュニティだなぁと感じます。

本作は、主人公側に対峙する側を完全に近い悪として描いている感があり、そこに少しご都合感を感じてしまいましたが、色んな展開に直面した時の各登場人物の心情描写は丁寧で、息遣いが感じられるものだったので良かったです。

 

この主人公側に対峙する側のなかに自分を見つけてしまうのが、湊かなえ作品なんですよねぇ…。

 

【多様性の無理解さ】

これもかなり両極端に描かれすぎていて(無理解な人はとことん無理解だし、味方は圧倒的に味方)、重い展開になっている一因ですね。

 

アンさんへの母親の対応がしんどすぎた……こういうのって、どうすればいいのかな。

 

共依存

貴瑚と愛の共依存をメインに、依存関係の繋がりが多々ありましたね。個人的解釈では、美晴は貴瑚に依存しているんだと思っています。

 

貴瑚と愛の二人で考えた時に、あの境地に達するまでの道のりが、もう少し欲しかったな〜と思ってしまいましたが、貴瑚にとってはアンさんとの関係からずっと繋がっていて、そこの蓄積分があるんだろうな、と思いました。

 

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願わくば二人が、互いが互いを支え合うような存在であり続けることを願って。

ここの葛藤を次回作としてくれるととても楽しみになります。

『逆に訊きたいです。みんな、なんで自分たち住む星の中のこと、知りたくならないのか。』

伊予原新さんの「八月の銀の雪」を読みました。本屋大賞ノミネート作品7作目!

 

短編集でしたが、どれも科学要素が出てきて、非常に楽しく読めました。

 

科学要素と、各人物の悩みがもう少し深いところで繋がってると、もっと良かったなーと思いますが、でも実際こんなもんですよね。

 

しかも、こういうのって私が読書する体験と同じで、科学要素と何かが繋がっているというより、今の自分の状況と親和性が高い解釈を人間がしがちで、それによって救われることがあるよね、ってことかなと思いました。

 

以下、各短編ごとにネタバレありで簡単に感想です。

 

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【八月の銀の雪】

コンビニの外人バイトさんの感じ、本当失礼だとは思うけど割とわかってしまう部分はあるなぁ…ぶっきらぼうな感じとか。これって文化の違いからくる違和感なのかな。

 

そして科学テーマは地球。大学時代をめちゃくちゃ思い出しました。銀の雪、すてきですね。

 

あとは、清田を救ってくれ。

 

【海へ還る日】

果穂のお母さん(名前出てきてたっけ??)の被害妄想というか、自己肯定力の低さがすごい…これでは私はとても生きていけない……。

 

クジラの話は興味深いですね。「歌」としての鳴き声が文化的に伝達されていく、そんなことがあるんですね。

 

もしかしたら彼らは、我々とは違って、もっと内向きの知性や精神世界を発達させているのかもしれない───ということなんです。

この考え方があるのも納得してしまいました。

 

【アルノー檸檬

伝書鳩の存在は知ってましたけど、こいつら地磁気を感じ取れるんですか……すげぇ。

この短編は、特に主人公とハトの対比が綺麗で素敵でした。

 

【玻璃を拾う】

「謝ったら死んじゃう病」わかる〜〜こういう人いる〜〜。程度とか方向性が人それぞれだから、扱いが難しいんすよね……。

おはぎが美味しそうで、食べたくなりました。

 

【十万年の西風】

気象観測!!凧での観測はボンヤリとしか知りませんでした、勉強になりました。

原発も、震災があってから一度興味を持ったことがあったので、これも勉強になりました。

 

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以上、小説としてというより知識興味を満たすものとして、楽しめました(笑)。