ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「わたしの」美しい庭

凪良ゆうさんに「流浪の月」で衝撃を受けたので、最近出版された「わたしの美しい庭」を早速読みました。 特殊な事情のマンションに、何らかの生きづらさを抱えた人たちが集まっていて、その生きづらさと向き合っていく短編集です。 いやぁ、最高でした。「…

自らで特別を規定する

恋愛に限らず広く一般に、特別とか運命とかって、ある日どこかから突然降ってくるもので、出会ったときから特別だ、運命だ、って雷に打たれたようにわかるものだと結構最近まで思ってました。 そういうものに、幼い頃に物語を通じて触れて、憧れて、だけど現…

自己との孤独なたたかい

高野悦子さんとは、今回が初対面、というより、そもそも作家ではないので特殊な立ち位置に居られる方です。 今回、感想を書こうと思っている「二十歳の原点」は、この高野悦子さんの二十歳における日記をまとめたものです。本人の意思がなんらかあったのかわ…

互いの存在のすべてをふたりで支えあう

凪良ゆうさんとは、今回が初対面です。K島氏さんがtwitterで感想ツイートだったか何だったかを呟いていたのがキッカケです。ちなみにK島氏さんとは書籍編集者の方(たぶん東京創元社)で、米澤穂信さんの担当?みたいです。 今回感想を書こうと思っているのは…

やがて海へと届きたい

彩瀬まるさんとの出会いは、「あのひとは蜘蛛を潰せない」をタイトル買いして、主人公の価値観が私自身のそれと非常に近く衝撃を受けたことから始まっています。 彩瀬さんは、心理描写がとても繊細で素晴らしい一方で、それを丸々比喩的に、幻想的に描くこと…

銀輪を書いていきたい

自転車部旅行班という、大学時代にお世話になった団体では、銀輪という伝統がありました。銀輪とは、端的に言えば旅の記録簿です。 思い出は、時とともに奥底にしまわれてしまいます。忘れたわけじゃないけれど、何かキッカケがないと思い出せない、そういう…