ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年の本棚

2020年も終わりですね。今年は外に出ることが例年以上に少なく、その分、読書が多少捗りました。 今年はあっという間に過ぎ去ってしまったという印象がある一方、今年初めて読んだ本を確認すると「やがて海へと届く」で、あれ、これ読んだの今年か、随分遠い…

『いまからあなたはタオルじゃなくて、ぞうきんよ』

桜庭一樹さんの「赤×ピンク」を読みました。年末年始は働いてるので、謎の読書欲が爆発しなければ、多分今年最後の本です。 やっぱ桜庭さんって天才だなと思いました。桜庭さんの人間性?について、私はよく知らないので完全なイメージですけど、桜庭さんの…

「弱い羊のままのぼくで荒野を駆ける。」

凪良ゆう先生の「滅びの前のシャングリラ」発売に絡んで、オンライントークショーなるものがありましたので、参加しました。 本来なら多分東京の書店などで開催するようなものがオンラインでやって下さるとのことで、こういう点ではオンライン文化が浸透して…

ひとりだけど、ひとりぼっちじゃない

重めのお話ばっかり読んでると、たまには何も考えずに読める作品が欲しくなります。 半年ほど前、「森があふれる」の解釈でヘロヘロになってた時に、まさしく欲しくなりました。それでとある友人からオススメを頂いたのが「孤宿の人」です。 いや、宮部みゆ…

どやんすどやんすー!?

先日、九州に出張に行く機会がありました。 コロナ情勢がやや不安な中でしたが、滅多にない出張なのと、あと佐賀県と大分県への宿泊で47都道府県コンプという状況だったので、出張後に旅に出ました。 佐賀県といって思いつくのが「ゾンビランドサガ」しか無…

麦チョコなつかしい

こんなに読書好きを公言しておきながら、実はこれまで芥川賞作品を読んだことがありませんでした。 芥川賞って、なんだか難しい作品が多そうなんだよな…というのが主な理由です。食わず嫌いですね。 ただ、純文学に対する偏見を見直せる機会があって、一度読…

「俺たちは──バーバリアン・スキル!』

『バーバリアン・スキルには、観劇する際のお約束があります!まず一つ!おもしろかったら、笑って下さい。二つ!悲しかったら、泣いて下さい。三つ!つまらなかったら、怒って下さい。』 竹宮ゆゆこ氏の「いいからしばらく黙ってろ!」を読みました。 キャ…

隕石が落ちてみんな死ぬ話

凪良ゆうさんの新刊「滅びの前のシャングリラ」を読みました。 感想は正直、今は一言ではまとめられません。今まで倫理観は不可侵領域だと思ってたんですけど、倫理観までぶっ壊しにかかってくる化け物でした。(誤解のないようにいうと、とても読んで良かっ…

コボちゃんを鳥山が描いている世界線を目指して

「あなたはここで、息ができるの?」を読みました。 いやぁ、最高に"竹宮ゆゆこ"でした!竹宮ゆゆこさんの魅力は一つ前の記事にまとめましたが、本作はまさしくと言った感じでした。 時間ループものと帯に書いてあって、怒涛のメタファーに時間ループまで足…

ジャンル「竹宮ゆゆこ」について

「あなたはここで、息ができるの?」の感想を書こうと思ったのですが、竹宮ゆゆこオタクすぎて、竹宮ゆゆこさんにまつわる話だけでボリューミーになってしまったので、分けます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中学生の頃、周囲の友達が所謂オ…

永遠なれ

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の映画を観ました。 最近涙腺はゆるゆるなんですけど、それにしてもマスクがぐちょぐちょになりました。外伝を含めて、映画館で泣いた唯一の作品です。「泣ける=良い」ではないと思っているので、この表現を感想とする…

小説でしか聴けない音楽

恩田陸さんは結構有名な方だと思うけど、私の中では大変昔に「光の帝国 常野物語」を読んだきりの状態でした(もはや内容も完全に忘れ去られている)。 「蜜蜂と遠雷」は、直木賞・本屋大賞を獲った作品であるし、ピアノを弾いていた経験もあることから興味は…

ドモネ!手ミーだ!

UNDERTALEとの出会いは、2019年末。前々から色んな人にオススメして貰っていて、ちょうどSwitchセールで1000円くらいだった時に買って始めました。今考えると1000円でこれってやばすぎるな…。 代表的な3ルート、クリアしました。 自分のワクワク感に120%の返…

文明が衰退した世界をゆく旅人

人ノ町は、完全に表紙買いです。小説を表紙買いしてもあんまりいいことないんですけどね…。 とはいえ、この人ノ町は、読んで良かったです。これをSFと呼んでいいのか分からないけど、SFを久々に読みました。 ミステリー要素もありながらだったので、段々と明…

メジャー!トレジャー!ノポンジャー!!

ゼノブレイドは、ゼルダのブレワイが終わって持て余してた所に、とある友人に薦めてもらって、ゼノブレイド2をやったのが始まりです。見事にハマり、かなりの期間遊んでいました。 本当のRPGらしくキャラごとに役割がハッキリしていて、パーティを組んで闘う…

おかねはだいじ。

「老後の資金がありません」は、いつどこで買ったかもよく覚えていないですが、恐らく1年くらい積読されていて、ようやく読むことができました。 前までは、原則買った順番に読んでいくことを自身に課していたのですが、それが読書欲を抑制してしまうことが…

「食べるってすごい。生きたくなっちゃう」

「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」は、彩瀬まるさんの最新作です。 大きなテーマは、「食べるって、すごい」ことだと思います。ここ最近の深めで複雑なテーマを引き継ぐ部分はありつつも、食べるということから人間が得るエネルギーの偉大さで単純化していけ…

凪良ゆう 書店応援ペーパー

「流浪の月」が本屋大賞に選ばれたものの、このご時世で、本屋さんは休店が相次ぎました。そして緩やかに回復した頃、書店購入特典として番外編の配布がありました。凪良さんとしても思うところが多かったのだと思います。 凪良さんに関しては元々、出版社横…

「しみったれたSSサイズじゃあない、大きな大きなLLサイズだ」

「覆面作家の愛の歌」は、北村薫さんの覆面作家シリーズ、第2作です。 いやぁ、第1作に続いて非常に面白かったです。普通に事件性のあるものが題材となっていて日常の謎ではないですが、謎に対する細かい伏線にしてやられました。 そして何より登場人物の魅…

ゴキブリキューブ、ダメ。ゼッタイ。

森見登美彦さんのことは、知っているようで実はあまり知らないニワカです。アニメを観てから「四畳半神話大系」を読み、続いて「夜は短し歩けよ乙女」を映画化のだいぶ前に読み、「恋文の技術」を読んだ所で終わっています。 今回読んだ「太陽の塔」は、森見…

凪良ゆうのすすめ

私がいま最も夢中になっている小説家さん、凪良ゆうさんの作品の一つ、「流浪の月」が、なんと本屋大賞に選ばれました。 選ばれたのを知った瞬間、油断すると涙が出てきそうなくらい嬉しくて、自分でも引きました。家に帰って、凪良さんの受賞コメント動画を…

アバンギャルドな老人とゆとりセンシティブな若者、だけじゃないという話

「すみれ荘ファミリア」は、私にとって凪良さん4作目であり、現状の非BLとしては最後の作品です。 勿体ない気持ちが先行していてなかなか読まずにいましたが、「流浪の月」が見事に本屋大賞を受賞され、その勢い余って読んでしまいました。 おんぼろ下宿すみ…

城塚翡翠について

相沢沙呼さんとは、今回が初対面です。このミス1位を取ったというニュース、それから本屋大賞の候補にも選ばれたというニュースをみて、ミーハーだなぁと思いつつも、あまりの評判ぶりに気になって読んだのが、「medium 霊媒探偵城塚翡翠」です。 主人公で…

宝くじに当たった必然性ではなく当たった時のリアクションに必然性を求めたいという話

先日、「劇場版 SHIROBAKO」をみてきました。 アニメ版を復習していけばよかったと思うくらいには、これまでの登場人物が沢山出てきましたが、それでも十二分に楽しめました。 これを気に思いにふけった、SHIROBAKOに限らない個人的考えも含みますが、感想を…

この世に触れたくて仕方がないからこそ、この世から逃げたくて仕方がない

「さいはての家」は、彩瀬まるさんの短編集で、5章からなります。 郊外に建つ古い借家でかりそめの暮らしをする様々な人々が主人公となっており、章毎に期間も異なるため直接的なかかわりはなく、ゆるーくつながっている感じですね。 帯での引用にある通り…

「妻がはつがしたんだ」

「森があふれる」は、「くちなし」に続いて、ものすごく幻想的な世界観のお話でした。 メインの主人公?である男性作家の妻である琉生はある日、植物の種を飲み発芽、広大な森と化します。 …だいぶファンタジーですね。その中で語られるのは、性差の話をベー…

「これこそがマカロンです」

「巴里マカロンの謎」は、驚くべきことに11年ぶりの小市民シリーズ最新刊です。 私は高校生の時に春期~秋期を読んだと思うので、11年丸々待ったわけではないですが、それにしても久しぶりである…このコンビのテンション感を忘れてしまう程度には。 時系…

もし円紫さんがお金持ちのご令嬢だったら

「覆面作家は二人いる」は、「円紫さんと私」シリーズや「中野のお父さん」と同様に日常の謎を扱う作品と分類することができますが、やや方向性が異なります。 まず第一に、殺人事件も扱うということ。主人公の双子の兄は警察官であり、主にはそこから流れて…

もし円紫さんが国語教師をやっているお父さんだったら

北村薫さんの「円紫さんと私」シリーズ、とても好きなのですが、やや取っつきにくい所があるとすれば、落語や文学史よりの話が多い所だと思います。 円紫さんは言わずもがな落語家だし、「私」は大学で文学のことをやっているしで、そっちに話が行きがちです…

正しさなんて、すててしまえ

「流浪の月」、「わたしの美しい庭」と読んできて、私の中で完全に急上昇ランク1位にいる凪良ゆうさん。 「流浪の月」を読んだとき、衝撃を受けたとともに、多少の後悔がありました。1作目にこんなに刺さる作品を読んでしまうと、どうしても2作目以降のハ…