「あなたはここで、息ができるの?」を読みました。
いやぁ、最高に"竹宮ゆゆこ"でした!竹宮ゆゆこさんの魅力は一つ前の記事にまとめましたが、本作はまさしくと言った感じでした。
時間ループものと帯に書いてあって、怒涛のメタファーに時間ループまで足された日には理解できるのか…?と一抹の不安がありましたが、今回はかなりの親切設計でした。
メタファーについてもかなり丁寧にネタバラシというか、明言されていて分かりやすかったです。しかも、生粋の竹宮ゆゆこオタクが満足するように、説明がくどい所は飛ばせるようになっているというね(笑)(たぶんそういう解釈でいいんだと思う)
まだ竹宮ゆゆこ作品を全部読んだわけじゃないですが、これが入門としてはオススメな気がしました…。これがハマれば、自動的に他の作品もハマるような、気がします。
以下、ネタバレ含みます。
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冒頭から主人公がグロレベルで死にかけていて、すでにジェットコースター展開wこういうときは、理解は2周目に回すのが賢いですね。「みんな」という表現も、2周目だと少しジーンとくる。
そして最大の特徴、QとX。この置き換えのおかげで話がだいぶ分かりやすくなってました。「砕け散る〜」とかは、このQとXがないレベルに匹敵する難解さだったので、だいぶ親切設計だな、と思いました。あと※で飛ばすやつ。特に最後の方の※は「メタファーの意味が分かってる人にとってはくどい説明になるから飛ばしてね〜」って意味だと受けとりました(笑)
時間ループものだけど、QとXがあるおかげもあって、繰り返し描写はほとんどなく、スムーズに楽しめました。
宇宙人の正体と意図も、台詞から大体推測できました。ただ、途中でお母さんというミスリードがあったり、厳密には邏々自身でもあったりして、やっぱり初手では把握しきれませんねw
さて、話の中身の話ですけど、謳い文句通り、最強の恋愛小説でした。自分が居ない未来を選ばせようと何度も何度も時間ループを決行する健吾。何度でも健吾と共にある未来を選ぶ邏々。読者にとっては想像の領域でしかないけれど、時間をループするたびに邏々の想いはより一段と強まっていってしまう。
息の話は深いですね。一緒に居ないと息もできないという暗喩的表現と、交通事故で瀕死状態にあるが故の、意味通りの息というのと、色々と繋がっていて凄いです。宇宙人版健吾のマスクというのは恐らく現実世界でついている病院のマスクのことで。青い姿なのも病院の青い布のせいで。
結局は邏々は亡くなり、健吾は一命を取り留める。そして、健吾が家に帰ってきた時にみた夢に邏々が干渉し、語りかけているものが、本作品。という解釈でたぶんあってるはず。
圧倒的バッドエンドなんだけど、邏々の想いの強さ、力強さが印象的で、悲しみの涙ではなく感動の涙が流れました。
残された健吾や両親のことを考えるとしんどすぎるけどね。
自分の竹宮ゆゆこ力向上を実感でき、竹宮ゆゆこ作品をもっと読みたいと思いました。
【もう一回読むときに確認したいこと】
・「邏々」と「ララ」の使い分け
・宇宙人版健吾の心情変化
・Q→Xの流れのより正確な解釈