古本を買ったのですが、表紙をめくるとまさかのサインがあってビビりました…。真偽は分かりませんが、調べてみた感じ、本物っぽいです。たなぼたでした。
今回はまた、すごい方向にぶっ飛んだ作品だったなぁと思います(笑)。シリアスとコメディが入れ替わり立ち替わりの怒涛の展開です。
竹宮ゆゆこ作品について、よくジェットコースター展開と表現しますが、本作については全力で回しているティーカップ展開というのがしっくりきます。難解な比喩が多くて高速展開していくというよりは、比喩は限定的だけど要素が複雑に絡み合っていき、目が回りかねない展開。
また、キャラクター小説感も強く、ラノベさながらの濃いキャラクターが多かったです。
私にとっては、満足なブレンドでした。ただ、ラノベ的要素が強いのがダメな人、シリアスの中にコメディぶち込まれるのがイヤな人、はちょっとしんどい作品なんだろうな、とは思いました。
テーマは、誰しも共感できる内容だと思います。大きな括りの愛、特に家族愛についてのお話でした。
血の繋がりとか、これまでの人生とか、そんなの関係ない。家族って、もっと自由でいいじゃないか。愛って、もっとシンプルに考えていいものなんだ、というメッセージを感じました。
以下、ネタバレありの感想です。
--------------------ー
今回もキャラごとにみていきます。
【瑛人】
くまさんのくだりは、最終的にはくまさんは弱い自分の比喩ってことでいいんだとすると、割と解釈通りで良かったです。
瑛人のようにまではなってないですが、瑛人の根本欲求(懸念)は私に通ずるところがあって、刺さりました。
アイスに心を持ってかれた理由が結局わからなかったけど、理由よりも気持ち自体を優先していこうよ、というメッセージでなるほどな、と思いました。
それにしても、アイスの夫とのケンカは、完全に瑛人たちが悪いと思うのですが、いかがでしょうか(笑)。
【アイス】
アイスを埋めた奴がなぜアイスを埋めたのかが謎すぎた(適当に放れば良かっただけじゃないか)とは思いますが、埋められた後の行動には息遣いが感じられて、良かったです。
『私を、愛してよ!」という悲痛な叫びに、なかなか心を動かされました。
最期の『いってらっしゃい!』『いってきます』はよくある展開だけど、それでもジーンときました。
【歓路】
脳筋の妹。状況に応じてボケとツッコミを担えるので脳筋キャラって便利ですね(違う)。かわいかったです。この子が妹で本当に良かったな。
【高野橋さん】
瑛人のお父さんなんじゃないかと思ってたけど、年齢差的にありえなかったですね。高野橋って、苗字なんですか?
歓路と一緒に、どっちかというとギャグ担当。
【最後に】
色々な要素を複雑に絡ませながらも、最終的にはシンプルにまとめ上げていることから、家族ってもっと自由でいいし、愛はもっとシンプルで良いな、と思いました。
スカイツリーからの夜景のくだりもそれをよく表しています。夜景の一つ一つでは確かに色々な人間ドラマが繰り広げられていて、愉快でないものも当然あるだろうけれど、だからといって夜景が綺麗でないことにはならない。
見たこと、感じたことは、もっとシンプルに受け取って生きてみてもいいんじゃない?と解釈しました。