ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

マシュマロ・ナイン

横関大さんの『マシュマロ・ナイン』を読みました。

 

横関さんとは初対面です。お名前の漢字がどれも相撲を想起させるので、そういった作風なのかと思いましたが、他作品みると別に相撲関連というわけでもないようでした(笑)。

 

本作は、元相撲部の9人が突如として野球部になり、甲子園を目指すというザ・エンタメ作品です。ひっさびさに、こういうエンタメ全開の作品を読みました。

 

色々な出来事が平行して起きるので、目まぐるしい中で、特にマシュマロ・ナインの試合は1試合1試合、ワクワクしながら読むことができました。ラストにかけても、主人公を中心に鮮やかに集約されていって、読後は圧倒的にスッキリした作品でした。

 

では、以下ネタバレありで書いていきます。

 

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■ 小尾の物語

本作は、マシュマロ・ナインの物語というよりは、ドーピング疑惑で球界を追われ、高校教師として働く小尾の物語でした。

 

校長に命じられて相撲部の9人を野球部として仕上げながら、自身を嵌めた犯人を追い、最期には物語が集約しながら大団円でした。

 

マシュマロ・ナインや娘のキャラ立ちが程よいスパイスとなりながら、死人も出ているのに終始軽快に進んでいき、非常に読みやすかったです。

 

個人的には、タイトルとあらすじを見たときに、映画『少林サッカー』のような、自分たちの強みを生かしてメンバーが成長していく展開を期待していたので少しズレがありましたが、マシュマロ・ナインひとまとまりとしては非常にキャラが立っており、幸せそうにジャンボラーメンを食べる姿を想像すると微笑みたくなります。

 

茜のキャラも非常に立っていましたね。無口だけど非常に支えとなる参謀ポジでした。

 

マシュマロ・ナインの9人をもっと掘り下げてほしかった感はどうしてもありますが、それやりだしたら1作じゃ収まらないし、このテンションを2作以上続けるのも大変だろうから、難しい所ですね。