P・G・ウッドハウス、岩永正勝・小山太一編訳の『ジーヴスの事件簿 才智縦横の巻』を読みました。
私の本棚ではごく稀に登場する海外文学です。私としては初対面の方ですが、界隈では余りにも有名なお方のようですね。
本作はポンコツ主人と賢明な従僕という王道の設定で、どまんなかを往く面白さでした。こういった作品の登場人物は設定先行型のキャラになりやすいのですが、本作はバーティにもジーヴズにもしっかりと人間味を感じました。久々に思いっきり楽しめた気がします。
海外文学が苦手な方でも問題なく楽しめるタイプのやつです。
では、以下はネタバレありで書いていきます。
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■ ジーヴズの初仕事
ここですでにジーヴズはバーティの調教に成功しているんだよねぇ…(笑)。ジーヴズの策略が非常に丁度よい…頭が切れる人から一歩だけ人外に向かって歩いたくらいのレベル感なので受け入れやすい。
■ ジーヴズの春
登場人物が増えてきますが、キャラが非常に立っているので、海外文学あるあるの人物ごっちゃごちゃ事件は起きずに済んでいます。ビンゴ君がこの後もこんなに活躍(?)するとは(笑)。
■ ロヴィルの怪事件
アガサ叔母を痛烈にひっぱたく回ですね。ジーヴズの人脈・知識の広さが光ります。この編だけじゃないけど、中盤にジーヴズが批判した服装をオチで捨てるバーティ、それを予め予期して捨ててるジーヴズの構図が様式美すぎてすき。
■ ジーヴズとグロソップ一家
『わたしなら、何とかあなたをものにできるはず。』に笑ってしまった。
■ ジーヴズと駆け出し俳優
ジーヴズの暗躍ぶりが特にすごい回。オチも一枚上手。
■ 同志ビンゴ
このオチもすき。
■ バーティ君の変心
ラストだけジーヴズ語りなの、バランスが良い。ジーヴズの人間味も感じられたし、ジーヴズ→バーティにも感情があるということが分かってよかった。理由までは詳しくは語られなかったけど、別の編で語られたりするんかな…気になる。
それにしても女学校に仕向けて講演させるの荒治療すぎてすき。
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とても心地よい読書でした…!
とりあえず同じようなシリーズでもう一冊あるようなので読みます。