ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

永遠なれ

ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の映画を観ました。

 

最近涙腺はゆるゆるなんですけど、それにしてもマスクがぐちょぐちょになりました。外伝を含めて、映画館で泣いた唯一の作品です。「泣ける=良い」ではないと思っているので、この表現を感想とするのは不服なのですが、語彙力がないので。

 

テレビシリーズから長きに渡って、ヴァイオレットの人生を描ききってくださったことに、感謝です。この作品がこれからも色あせることなく受け継がれ、永遠のものとなりますように。

 

今回、テレビシリーズから全て一度見返しました。その感想も含めて、以下にネタバレありで書いていきます。

 

 

 

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【テレビシリーズ】

これを見返すためだけにNetflixに加入。初回1ヶ月だけ安かったのと、まさかの外伝も配信してくれるということで、よかったです。

 

最近のヴァイオレットに慣れていたので、序盤のヴァイオレットの感情の無理解さには懐かしさを覚えました。

 

けれど、理解できていないだけで、少佐に対する想いなど、感情自体は序盤の時点で確かに心の中にあるのだということを感じました。少佐との生活の中で、武器ではなくきちんと人間になれている。

 

それにしても、毎話毎話泣かせにくるずるい構成ですよね…それでも素直に感動できるのは、やっぱり、登場人物一人一人の息遣いが感じられるからだと思います。

 

軸となるヴァイオレットは、こなした仕事・出会った人々の影響を受けて、少しずつ着実に変化している。各話のメインキャラたちも、ちゃんと生きていて、その話限りの登場だったとしても、彼彼女らの「これまで」と「これから」までをも感じることができる。これって当たり前じゃなくて、凄いことだと思います。

 

お気に入りを挙げることができないほど、どの話も好きです。本当に、それだけで1つの物語足り得るほどの世界観というか。一番泣いた話であれば、10話(アンへの手紙)です。自分でも声出して泣くとは思わんかったです。

 

見返した時に印象的だったというか、ようやく理解できたことは、ディートフリートの弟愛です。

 

初見の時は、前半の印象はかなり悪く、終盤でもそれを引きずってみてしまっていました。ただ、見返した時に、終盤の展開を知っている上で序盤からの行動を見返すと、彼なりの「あいしてる」が確かにあったのだなぁと感じることができました。

 

弟のギルベルトは、真面目で優しい性格であるがゆえに、戦場でも損な役回りを任され、命を落としかねないのではないか。そう危惧したからこそ、武器としてのヴァイオレットを傍に置かせようとしたのではないかな…と思ってしまいました。

 

【テレビ未放送話】

この存在を初めて知りました。円盤とかに付いていたものなんでしょうかね。気づけて良かったです。

 

時系列は確実にはわかりませんが、公開恋文の前っぽいですよね。

 

テレビシリーズを見返した時に、公開恋文のタイミングでヴァイオレットの表現力・感情力?が格段にレベルアップしてて笑っちゃったのですが、それを補完する役割を担っていそうな気がしました。

 

映画の冒頭で海の讃歌を歌ってたのはイルマかな?と思いました。

 

映画も観終わった後で振り返ってみれば、ギルベルトが本当に死亡していた場合のIFストーリーを模しているようにも思いました。

 

【外伝】

これは映画館でめちゃくちゃ泣いた初めての映画です。

 

呼び名に想いが込められるような描写が、個人的に大好物なんです。今回のように、同じ時を過ごしたかつての名前であったり、初めて「お母さん」と呼ぶとか、そういう。

 

改めてみると、エイミーとテイラーの対比が細かくて最高でした。ヴァイオレットにありがとうを伝える描写も、よく似ていて姉妹らしいと思いました。

 

最期の手紙は思い出しただけでも…。テレビシリーズのルクリアの時も思いましたが、短文で想いを伝えるタイプにめっぽう弱いのだと思います。

 

電波塔のくだりなど、段々と戦争が過去のものになっていくような、時の流れが感じられる部分もありました。

 

【映画】

さて、ようやく今回の映画です。運良くお休みだったので、舞台挨拶のライブビューイングがある回で観ることができました。

 

冒頭にアンの話を持ってくるのはずるすぎます…ずるすぎますよ…。

 

手紙が飛んでいく演出は、どこかで一度ありましたね。外伝だったかな?そことの対比になっていそうでした。

 

電波塔も完成したということで、外伝からもさらに少し先の話ですね。

 

ヴァイオレットは非常に感情豊かになったと思います。ギルベルトの話題になった時のあの顔の描写は少女らしさが際立っていて、とても良かったです。かと思えば、ユリスとのやり取りやユリスの危篤の連絡のくだりなど、ギルベルトから独立したヴァイオレットとしての強かさが際立つ場面も多くありました。また、感情が理解できるようになったからこそ、ギルベルトが会いたくないと言っている気持ちを理解してしまうのは切ない所だと思いました…以前の彼女なら、問答無用で扉を開けていたような気がします。総じて、彼女の成長を感じられました。

 

ギルベルトの想いも、分からんではないけど、どうするべき、ではなくて、どうしたい、という今の自分にとっての幸せを第一にして欲しいと思いました。だから、最後にちゃんと素直になれてよかった…。

 

ディートフリートは、舞台挨拶で浪川さんが言ってましたが、好感度が急上昇キャラでした(笑)。テレビシリーズを見返した時に感じた彼の想いが、解釈違いでなかったことが確認できて、よかったです。弟が「〜であるべき」から自由になる後押しをした、弟を溺愛している兄貴でした。

 

また、来場者特典がIFの小説でした。ヴァイオレットがギルベルトに渡らずにディートフリートの傍に居続けた場合のお話だったのですが、これが結構なバケモノでした…。ディートフリート、お前ってやつは…。小説としての魅力も十分に伝わってきたので、落ち着いたら原作も読みたいと思いました。

 

未来のデイジーの「あいしてる」の手紙で終わっていく流れも良かったです。

 

自動手記人形や手紙が廃れていっても、「あいしてる」は変わらないし、言わなければ伝わらないことは多いのです。電話でも、手紙でも、なんでもいい。大切な人へ伝えたいことは伝えたいと思ったら、伝えたほうがよい、そう思いました。

 

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この作品は、これから先も多くの人が観て、永遠のものとなって欲しい、そう思います。