ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

麦チョコなつかしい

こんなに読書好きを公言しておきながら、実はこれまで芥川賞作品を読んだことがありませんでした。

 

芥川賞って、なんだか難しい作品が多そうなんだよな…というのが主な理由です。食わず嫌いですね。

 

ただ、純文学に対する偏見を見直せる機会があって、一度読んでみようか、と思って手に取ったのが長嶋有さんの「猛スピードで母は」です。

 

…やばい、書くのをさぼっていたので細かいことを忘れかけています。

 

どちらのお話も複雑な家庭事情のなかにある子ども目線のお話なんですけど、子どもらしい純粋な感受性で語られるそれは不思議と重くなく、不思議な読後感でした。

 

人間性って、もちろん環境に影響を受ける部分はあるけど、やっぱり先天的なものもあって、同じ境遇でもそれがプラスになる人、マイナスになる人、それぞれだなぁと感じました。

 

芥川賞、今後も積極的に読もうとは思いませんが、気になったものについては敬遠せず読んでいきたいです。

 

以下、ネタバレを含む詳細です。

 

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サイドカーに犬

洋子さんかっこいい。母親と洋子さんの違いに驚くような描写は、流浪の月の描写にも少し似ている。良くも悪くも、親の考える「普通」が子の「普通」の形成に多大な影響を与えるよね。「普通」が親から引き継いだそのままで固まってしまう前に、別の「普通」に気づくことが大事。

 

洋子さんとの夜の散歩も印象的。この不思議な雰囲気は何なんだろうな…。彼女らが淡々と、でも一生懸命生きているのを、そのまま写し取ってるみたいな。

 

【猛スピードで母は】

母親から「結婚するかもしれないから」と言われた際の「すごいね」という返しは、すごい(語彙力)。子どもの感受性でしかなしえない返しだと思う。母が帰ってこない時の心の動きの描写も、すごかった(語彙力)。

 

一番印象的だったのは、ゴールキーパーの比喩。PKの時に、すべての球を阻止することに拘っていては、なにもできないのです。止められなかった時は止められなかったことを素直に受け入れる、そう生きていきたいなと思いました。これは個人差が大きいと思いますけどね。