ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

『何考えててもいいけど、ちゃんとしてよ』

芦沢央さんの「汚れた手をそこで拭かない」を読みました。

 

芦沢さんは、「罪の余白」と「悪いものが、来ませんように」に続いて3作目です。

 

毎度のことですが、話の展開が気になりすぎて、すいすい読めてしまいますし、展開の意外性がすごくて好きです。

 

タイトルが秀逸です。「お金」をテーマにしているのですが、お金関係のなんらかのことで手を汚してしまった人々が、「そこ!?」という所で手を拭こうとするというお話です。

 

物語としては、私個人はどうしても共感ポイントがないというか、登場人物への感情移入が中々できないのが、少しもやっとしてしまう所です。

 

これは個人差がありますし、何より単純な面白さが突き抜けているので、誰でもスラスラとは読めると思います。

 

以下、各短編ごとにネタバレありでみていきます。

 

 

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【ただ、運が悪かっただけ】

いわゆる安楽椅子探偵ものでした。十和子の状況把握能力の高さよ。

 

【埋め合わせ】

これはいるよな〜〜ここまでではないけどちょっとしたことなら自分もやりかねない…。まぁそれは置いといて、最後のオチには爆笑しました。

 

【忘却】

これは後味最悪の一品ですね。褒め言葉です。電気料金の請求書というミスリードからの停電のオチ…。ネタバレになるから書きませんが、湊かなえさんのあの作品と似た、震えるオチでした。

 

【お蔵入り】

これは、展開的には読めたところもあったけど、やっぱり後味悪め。鳥のシーンは何かの比喩なのかな〜。あとラストのあと、どうなっていったのかが気になる。

 

ミモザ

個人的には今回の中で一番好きです。ミステリー要素はほとんどなくて、どっちかっていうとホラーだよね、これ。旦那さんの見て見ぬふりと、結局最後もお金貸してしまったことで、この後もどんどん狂っていくんだろうな〜〜というのがゾクゾクしました。