ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

本屋大賞2021ノミネート読破

本屋大賞2021ノミネート作品10作を、すべて読みました。

 

比較的ミーハーな人間なので、前々から、何かしらの文学賞のノミネート作読破とかやってみたいな〜本屋大賞がやりやすそうだな〜と思っていました。

 

そして今年2021年のノミネート作品には、偶然にも2作ほど既読のものがあったので、チャンスはいまだ!!!と思って今回やってみました。

 

案外順調に進みまして、発表までまだ時間のあるうちに無事10作を読み終えることができました。〆切の力は偉大ですね…!とても濃密な2か月を過ごせました。

 

いや、無理して読んだわけでは決してないのですが、何の縛りもなく読む時より読むことに対する意識が高まるというか、何というか。

 

さて、10作読み終えた感想としては、本屋大賞は非常に多種多様な作品が集うのだなぁと改めて思いました。普段はあまり読まないようなタイプの本もあって、新鮮な体験でした。

 

折角すべて読んだので、甚だ僭越ではありますが、個人的に本屋大賞の順位を考えてみたいなと思います。いずれの作品もネタバレなしで行きます。

 

断りを入れておくと、10作とも基本楽しく読むことができました。あくまで私個人による満足度を指標にしていること、ご了承ください。私個人の満足度としては、順位は割とすんなり決まってあんまり迷うところはなかったです。

 

非常に適当ですが、こういう人にオススメ、というのも書きました。

 

 【第10位:逆ソクラテス伊坂幸太郎)】

小学生の日常を舞台にした短編集です。伊坂幸太郎さんの文体が好きな方、頭のよい小学生が好きな方(?)にオススメです。

私個人としては、小学生の小学生らしからぬさが気になってしまいましたが、所々に刺さるフレーズがあって、印象に残っている作品です。 

 

【第9位:八月の銀の雪(伊与原新)】

日常×科学の短編集です。科学全般に興味がある方にオススメです。

科学によって救われていくというのが非常に新鮮で、楽しく読めました。

 

【第8位:この本を盗む者は(深緑野分)】

10作の中で唯一明確なファンタジーです。独特な世界観です。ファンタジーの世界観に溶け込みたい方、分厚くてもOKな方にオススメです。

中盤以降の怒涛の展開は世界に溶け込みながら楽しむことができました。

 

【第7位:オルタネート(加藤シゲアキ)】

めちゃくちゃ爽やかな青春小説です。SNSを通したザ・青春小説が読みたい方にオススメです。

私個人としてはもう少しヒリヒリする展開を期待してしまいましたが、終盤にかけて物語が集約されていく感には読む手が止まりませんでした。 

 【第6位:52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)】

「家族の呪縛」「多様性への無理解さ」などの現代の重いテーマを扱いつつも、一気に明るい所まで導いてくれる作品です。重め展開が好きな方、共依存関係が好きな方にオススメです。

個人的には、大好きな作家・彩瀬まるさんと似た雰囲気を感じて嬉しかったです。今度別の作品も読んでみたいと思いました。 

 【第5位:自転しながら公転する(山本文緒)】

現代の大人の女性の葛藤をそのまま作品にしたような小説です。社会人で、家族・仕事・恋愛のバランスがうまくいってない方にオススメです。

私としては、全面的な共感はできなかったですが、本来言語化できない部分を見事に描写している表現力に感動しました。

 【第4位:推し、燃ゆ(宇佐見りん)】

芥川賞受賞作!推しを推すということ、SNS社会で生きるということを非常に独特で美しい表現をちりばめながら、仄暗い部分も真正面から生々しく描き切っています。20代以下の方、重い雰囲気が好きな方、純文学に抵抗のない方にオススメです。

私個人としては、第1位と同率くらいの満足度なんです…!読んでから約1か月経ちますが、いまだにこの作品を出発点とした思考をめぐらすことがあります。ただ、芥川賞をすでに受賞されていること、非常に重く万人受けはしないということから、本屋大賞は取りにくいのかな、と思いましてここにしました。

 【第3位:犬がいた季節(伊吹有喜)】

非常にセンチメンタルな気分にさせてくれる素敵な青春小説です。オルタネートとの違いは、こちらは仄暗さも抱えている所かな。「切なさ」を堪能したい方にオススメです。

私個人としては非常に満足度が高かったです。第2位と同等レベルです。 

 【第2位:お探し物は図書館まで(青山美智子)】

”元気”をもらえる作品です。読むのにパワーが要らなくて、逆にあふれんばかりのパワーを与えてくれます。社会人生活でお疲れの方にオススメです。

これも非常に満足度が高かったです。主人公が社会人中心ということもあって刺さった表現が多く、第3位の上にしました。 

 【第1位:滅びの前のシャングリラ(凪良ゆう)】

 1か月後に隕石が落ちてきてみんな死ぬお話です。「明日地球が滅びるとしたら何をしようかな」と考えたことがある方にオススメです。

はい、私の信奉している凪良さんを1位に置きました。圧倒的バッドエンドが確定しているはずなのに、非常に幸福な気持ちになれる作品です。信奉している人の期待値すら余裕で超えてきたことから、悩みましたが第1位としました。去年すでに「流浪の月」で受賞されているので、それがどこまで響くのかな…といった所です。 

 【まとめ】

お疲れさまでした。私としては第4位まではほとんど同率といってよいので、この4作品から選ばれると嬉しいなと思います。

とはいえ冒頭でお話した通り、10作とも非常に楽しく読むことができました。今年もまた、受賞前に作品を読むことができて幸せです。