ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

未完成定理はいいぞ

comicoという漫画アプリにおいて、『未完成定理』という漫画があり、先日完結しました。いや、してしまいました。

 

ここはその『未完成定理』をひたすらオススメしまくるだけのコーナーです。

 

私が『未完成定理』と出会ったのは何年前だったか……。時期は忘れてしまいましたが、作者であられますぽて先生(@cat_pillow)が、自身のwebで公開・更新されていた時代に出会いました。

 

それから、comicoでの連載が決まり、始まり、私の毎週月曜夜の楽しみの一つであり続けてくれました。

 

あくまで個人的主観ですが、今まで読んだ漫画の中でトップ3には入ってくると思います。いや、ほんとに。

 

頑張ってざっくり魅力をまとめました。

 

【あらすじ】

「未完成な」高校生たちのお話です。潔癖症睡眠障害など、ちょっと不便な問題を抱えた彼らの青春群像劇です。「青春群像劇」というのは公式が使っているフレーズですが、この作品をまさしくよく表していると思います。

 

【魅力①・登場人物たちの息遣いが感じられる】

メインの魅力はこれに尽きます。多種多様な考え方・悩みを持った登場人物たちが出てきますが、その多くに感情移入ができる。できるように、じっくりコトコト描いてくれている。さらに、それが最期まで貫かれている。物語のために動かされているのではなくて、彼らが自分の行動理念に従って行動している。生きているように感じられる。

 

【魅力②・細かすぎる描写とその背景】

背景設定がめちゃくちゃ細けぇ…そしてそれを不自然に曝け出すのではなく、ストーリーの進行に合わせてじわじわ明らかになっていく。でも当然、読者が知らないだけで、登場人物としては前からの悩みとか経緯であるから、明らかにされる前からもしっかりそういう描写がされているんですよね。じわじわ明らかになっていく感覚が楽しかったですし、再読する楽しさも生んでくれています。

 

特に、①と②が両立してるのって相当やばいことだと思うんです。設定が細かすぎるとどうしても設定ありきのストーリー展開になっちゃうと思うんですけど、そうなってない。これは天才だと思うわけです。

 

【魅力③・全くダレない面白さ】

数年間、毎週1話ずつ読むのって、今の私には中々ハードルが高いのですが、それが全く気にならないレベルの面白さなんですよね。

全体を振り返ってみても、だれているような部分はなかったように思います。それだけ設定の作り込みがすごかった(②)ということでもありますし、登場人物たちに魅力を感じた(①)ということでもあります。

 

【設定④・複雑な人間関係】

②と同じようなことを言っているんですが、若干違います。『未完成定理』ではいわゆるメインカップリングというような、男女のペアが何組かあって、その関係性の変化がメインに置かれています。ただ、それぞれが独立して進んでいくのではなく、背景設定的な意味でも、現在進行形のストーリー展開としても、メインカップリングでない組合せの関係性、およびその変化があって、それが予想外にメインカップリングの関係性に変化を起こしたりします。

これがあることで、単なる高校生の日常という枠を飛び越えて、ストーリーの壮大さやカタルシスを生んでいるとおもいます。

特に私が好きなのは、文化祭編です。それぞれの関係性が出来上がりつつある中で、文化祭では本当に色々な関係性に変化があって、複雑に絡み合っていく…。この複雑さでありながら、①②は失われない、これは天才だと思うわけです(2回目)。

 

【番外編・感想】

ネタバレは控えますが、ちょっとだけ感想も。

 

私個人としては、どの関係性も等しく好きなのですが、強いて挙げるなら……………いやごめんなさい、無理ですね、メインはみんな好きです。

 

カップリングでない所に目を向けた場合は、まずは宗司と灯がめちゃくちゃ好きです。お互いに尊敬しあった関係性がすごく、いい。そして、なんといっても眠花とうきょくん。これは皆そうなんじゃないかな。序盤から不思議な関係性だったけど、段々と明らかにされていった中での、最期にかけての流れが、完璧でした。

 

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なんとかして本棚に並べたくて仕方ない作品ですが、こればっかりは運営様に祈りを捧げるしかありません。

 

『未完成定理』をこの世に生みおとしてくださったぽて先生に最大限の感謝を。宗司と眠花と、『未完成定理』のなかを生きる全ての人の幸せが、これからもつづきますように。