ずっとお城で暮らしてる

趣味にまつわる記録簿です。小説の感想がほとんどです。

凪良ゆうのすすめ

私がいま最も夢中になっている小説家さん、凪良ゆうさんの作品の一つ、「流浪の月」が、なんと本屋大賞に選ばれました。

 

選ばれたのを知った瞬間、油断すると涙が出てきそうなくらい嬉しくて、自分でも引きました。家に帰って、凪良さんの受賞コメント動画をみたら泣いてしまい、自分でもドン引きしました。

 

なぜ泣く程嬉しく思ったのか、私にもよくわかりません。読んだことのある作品が本屋大賞に選ばれるのは初めての経験で興奮したというのはもちろんありますが、これで「流浪の月」をはじめとする凪良ゆうさんの作品がより多くの人に届くことになるであろうことが嬉しかったのでしょうか。

 

何はともあれ、これを機に改めて凪良ゆうを布教していきたい!と思い、初めて誰かに読まれることを前提とした記事を書くことにしました。以下を読んで、凪良ゆう作品と出会ってくれる人がいたならこんなにうれしいことはありません。基本的に本記事はネタバレなしで書き上げたいと思います。

 

ここでは、凪良ゆう作品のうち、私が既読である非BLの4作品を取り上げます。

 

【魅力1:自分にとっての「正しさ」「幸せ」を追求することを肯定してくれる】

 情報がありふれている社会になったからこそ、他人を自分の知っている枠の中に収めて、変な思いやりを持つ人が多い世の中です。これはどうしようもないし、お互い様なのだけれど、少なくとも自分だけは自分の「正しさ」「幸せ」に正直でいよう、という強いメッセージを感じる作品が多いです。

 

何とか言語化しましたが、言語化したそばから私の意図からは離れてしまっていると感じるくらい、非常に感覚的な部分を見事に書き上げています。

 

【魅力2:登場人物に対して非常に親切】

 ほとんど全ての登場人物の息遣いが感じられるほど、登場人物に対して非常に親切な描き方をされています。物語の進行上で役割を果たすことを目的にした登場人物が、いないように感じるのです。凪良さん自身でもインタビューでお答えになっていましたが、各登場人物の心情を優先するので、場合によっては考えていたものとは全く違う話の流れになった部分もあるとのことです。

 

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さて、では作品たちを個人的なオススメ順でみていきたいと思います。気になった作品を読んでもらったらいいと思いますが、暗い話が全般に苦手な方は「③わたしの美しい庭」がいいかもしれません。

 

①流浪の月

 公式のあらすじから引用すると、「再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家がいかんなく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。」です。

 これは特に、とにかく読んでくださいとしか説明のしようのない作品です。更紗と文の言葉では言い表せられない関係性が一番の魅力です。恋愛小説ではありません。

 

sugatter315.hatenablog.jp

 

② 神さまのビオトープ

 作品全体の主人公であるうる波の前に、事故死した夫である鹿野くんの幽霊が現れます。鹿野くんの幽霊と過ごしていきながら、様々な人々と出会い、時には助け、一緒に悩みながら、彼彼女らの選択を見届けます。

 一言でいえば、「(世間的な)正しさなんて、すててしまえ」!!実に爽快です。人間の生きる目的とは、なるべく多くの幸せを感じることだと思っていますが、それを強く肯定してくれたような作品です。

 

sugatter315.hatenablog.jp

 

③ わたしの美しい庭

 特殊な事情のマンションに、何らかの生きづらさを抱えた人たちが集まっていて、その生きづらさと向き合っていく短編集です。「流浪の月」と同じく、名前のつけられない、だけど何よりも大切な関係性というのがテーマの一つになっているように思います。4作品の中では一番エグみが少なく、さっぱり・ほっこりめの作品です。

 

sugatter315.hatenablog.jp

 

 

④ すみれ荘ファミリア

 おんぼろ下宿すみれ荘の管理人をしている一悟は、その下宿人たちと家族のように暮らしていました。そこに新しい入居者、芥がやってきて……というお話です。

 芯となるテーマは「生きづらさ」なんだけど、どちらかというとそれが社会との折り合いであった他作品と少し違い、他者との折り合いに主眼が置かれていたように思います。今回は、自分の中の折り合いのつかなさがあまり良くない方向で実体化してしまった人が多く、結果として絶妙に足を引っ張り合うような人々の話でした。

 

 

sugatter315.hatenablog.jp 

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以上です。こんなに書いても多分意味がないと思いますが、自己満足なので満足です。

読んでくださった方がいたら、ありがとうございました。